COLUMN
コラム
2025.11.15
「最近、家の中のドアがギィ〜と鳴る」「引き戸が重い」「収納扉の動きが悪い」
そんな“住まいの違和感”が増えてくるのが、新築から10年前後のタイミング。
実はこの時期、建具の不調が出やすいのはごく自然なこと。
建具は家の中でも最も使用頻度が高く、わずかな変化が音や動作の不調として現れやすいからです。
ですが安心してください。原因さえわかれば、多くのトラブルは早めの対応で改善できます。
今回は、建具のきしみ・ガタつきの原因、対策、修理依頼のポイントまでまとめて解説します。
目次 [非表示]
木材は湿度が高いと膨らみ、乾燥すると縮みます。
日本の四季は湿度差が激しいため、10年も経つと扉や枠に“微妙なズレ”が生じやすくなり、きしみや擦れにつながります。
梅雨や夏の熱 → 木が膨張
冬の乾燥 と低気温→ 木が収縮
このような環境変化が、きしみ音につながります。床がキィキィ鳴く「床鳴り」も同様の理由でよく起こる症状のひとつです。
築年数が浅い家では、上記のような症状は起こりづらくなっています。
理由は建具が無垢の木ではなく、木材の芯を使って、両面に板を貼り合わせて作るような「新建材」(フラッシュ扉とも言われます)が使われるケースが多くなったためです。
伸縮が少なく、軽量なため施工性も良いため、現在は各メーカーのドア商品が一般的に使われています。
毎日開け閉めすれば、当然パーツは消耗します。
とくに引き戸で多いのが 戸車の劣化。
「ガタッ」「ガラガラ」といった異音はほぼこれが原因です。
画像引用:DCM株式会社
開き戸(ドア)の場合は 丁番のゆるみ が多く、扉が微妙に傾き始めます。
家は完成してからも少しずつ動きます。日本は四季があり、地震もあるので尚更です。
“沈下”というと大げさに聞こえますが、ほとんどが問題ない範囲の“落ち着き”です。
ただし、その変化によって 建具の枠と扉の隙間が変わる → “擦れる・重い”という症状が出ることがあります。
実は「よく使う扉ほど傷む」というより
“使わない扉のほうが傷みやすい” こともあります。
可動部は定期的に動かしたほうが油分が馴染むので、
使っていない扉は逆に固まって動きが悪くなる…という現象も起こります。
代表症状:
ギィ〜と鳴る
ドア下が床に擦る
扉を閉めると枠に当たる
パタン!と強く閉まる
原因&対策:
丁番の緩み → ネジの締め直し
潤滑不足 → 専用スプレーで潤滑
扉の反り → 建具調整、最悪交換
ドアクローザーのズレ → 調整で解決
● DIYでできるポイント

一家に一つあると便利な「シリコンスプレー」500円くらいで手に入るので、持っておくと便利です。
油分を多く含む556のようなスプレーは建具の蝶番には使用しないことをおすすめします。ホコリが付いてしまいますよ。
画像引用:kure.com
● プロに依頼すべきタイミング
代表症状:
ガラガラ音がする
勢いよく閉まる/途中で止まる
扉が枠に擦れて黒い線がつく
原因&対策:
戸車の摩耗 → 交換
レールの歪み → 補修
建具の反り → 調整
ホコリの堆積 → 清掃
引き戸は構造が複雑なので、実は 建具の中で最もプロの調整が必要 なパーツ。
戸車の交換だけで新品同様になるケースも多いです。

代表症状:
折れ戸が途中で止まる
扉が左右非対称になる
取っ手がガタつく
原因&対策:
金物の緩み → 調整
レールの歪み → 補修
扉の反り → 矯正 or 調整
収納扉は軽く見られがちですが、実は 最も負荷がかかる場所。
とくに折れ戸の金物は劣化しやすく、10年前後で交換することも珍しくありません。
建具の修理で非常に重要なのが
「その建具はメーカー製かどうか?」 という点。
メーカー名・型番・ロゴ・品番が貼られているケースが多いです。
画像引用:三協アルミHP
YKK、LIXIL、Panasonic、永大産業 などが一般的です。
「建具:Panasonic/VERITIS」などの表記が残っている場合も。
規格サイズの扉、定番カラー、既製品のハンドル形状 ——
これらはメーカー品の可能性が高いサイン。
Panasonicの建具「VERITIS」シリーズのドア。
結論:
メーカーのメンテナンス依頼が“最安で最も確実”です。
理由:
部品の互換性が100%確実
調整方法がメーカー基準で安心
場合によっては保証期間が残っている
部品取り寄せが最速
実は建具は“微調整の仕方”がメーカーごとに異なります。
専任の技術者が来るメーカー修理は、トラブル解決力が桁違いです。
修理依頼に関しては、私たちのようなリフォーム会社の対応方法も「まずはメーカーメンテナンス」が鉄則です。
A. 丁番のネジ締め・レールの掃除・潤滑剤の使用はOK。
ただし 調整ネジに触るのはNG。ズレが悪化することがあります。
A. 一般的には 5年に1度 が目安。
築10年で一度しっかり調整し、その後5年おきがベストです。
A. 写真を撮ってプロに見せるのが確実です。
多くの建具は「金物の形状」でメーカーを判別できます。
A. 10〜20年以内ならほとんどは“修理で十分”。
戸車・丁番・金物の交換だけで新品同様になるケースがほとんどです。
ドア調整:5,000〜15,000円
戸車交換:10,000〜25,000円
収納扉調整:5,000〜10,000円
※メーカー修理は内容により異なりますが、互換性の確実さは圧倒的です。
建具は毎日触れる場所だからこそ、わずかなズレや摩耗が音や不便につながります。
しかし、ほとんどのトラブルは 早めのメンテナンスで改善可能。
きしむ
重い
擦れる
動きが悪い
こんなサインが出始めたら、まずはメーカー品かどうか確認。
メーカー品ならメーカーのメンテナンス依頼が最も確実でコスパも良い方法です。
早めのチェックで、建具は長持ちします。
快適な家は「扉の動き」から変わります。
下記に当てはまる場合は すぐにプロに相談 をおすすめします。
扉を閉めるときに“バタン”と大きな音がする
扉上部がぐらついている
扉の上が枠に接触している
引き戸が途中で止まる(戸車破損の可能性)
子どもが指を挟みそうな挙動がある
建具は“毎日触れるもの”だからこそ、トラブルが安全面につながりやすい部分でもあります。
家の中で、もっとも毎日手に触れているのが建具。
だからこそ、築10年前後で不調が出るのは自然な現象です。
木材の伸縮
金物の摩耗
家のわずかな変化
ホコリや汚れの蓄積
これらが重なり、きしみや重さ、音につながります。
しかし、ほとんどの不調は 早めの調整で改善可能。
「最近気になるな…」と思ったら、
放置せずに一度点検してみるのがおすすめです。