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2020.07.28

高断熱住宅には、高気密がセットです

高断熱住宅には、高気密がセットです

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高気密の家は息苦しい?

高気密の家は息苦しいので、中気密くらいの方がちょうどいいのだというような誤解をしている方もいるようです。いまだに専門家と名乗っている方の中にもそう主張している方がいるので、一般の人はおそらく調べれば調べるほどに混乱するのではないでしょうか?

もちろんこれは、とても残念な大きな誤解です。高気密の家が息苦しいなんてことはありませんし、むしろ低気密の家よりも花粉やPM2.5などが入ってこなくなり、空気環境が良くなるケースの方が多いんです。

分けて考えたい「風通し」、「換気」、「すきま風」

 

まず、「風通し」、「換気」、「すきま風」がごっちゃになっている方が多いようなので、それを整理して理解するのが、気密性能を理解する上では大切です。

最初に「風通し」ですが、これは窓を開けて風を通すことを言います。もちろん風通しのいい住まいは住み心地がいいです。「風通し」の良い家のためには、窓や壁の配置が大切です。逆に言えば、「風通し」の良さと「気密性能」とは直接の関係はありません。

換気システムの重要性

次に「換気」ですが、これは人間の呼吸や暖房機の燃焼などで汚れた空気を排出し、新鮮な空気を供給することを言います。現在の新築住宅には、化学物質からの健康被害(シックハウス)を防止するために家の空気を1時間に0.5回入れ替える24時間換気が可能な設備の設置が義務づけられています。特に高気密住宅の場合は、計画的に換気を行う必要があるので、換気システムは重要です。

ちょっと専門的な話になりますが、「換気」システムの方式は、

第1種換気(機械で給気・排気の両方を強制的に行う換気)

第2種換気(給気のみ機械で強制的に行う換気)

第3種換気(排気のみ機械で強制的に行う換気)

の3つに分けられます。

住宅用に使用される換気システムは、第1種換気方式と第3種換気方式が一般的で、第2種換気はあまり用いられていません。

第3種換気は、排気は機械換気で強制的に行い、給気は給気口などから自然に行う換気方式です。トイレの換気方式をイメージしていただければわかりやすいと思います。低コストなのがメリットです。

機械換気で強制的に行う換気(第1種換気)がおすすめ

それに対して第1種換気は、給気・排気とも機械換気で強制的に行う換気方法です。機械換気の中で最も確実な給気・排気が可能で、空気の流れを制御しやすいので、高気密・高断熱住宅に適しています。ただし、ただの第一種換気システムだと、冬にせっかく暖房した暖かい空気がそのまま外に捨てられ、外の冷たい空気がそのまま家に入ってくるため、暖房エネルギーの損失が大きく、また室内環境の快適性が損なわれます。夏の冷房時も同様です。

そこで、高気密・高断熱の住宅では、熱交換タイプの換気システムが採用されているケースが多くなっています。熱交換器で熱エネルギーを回収し、取り入れた新鮮な外気に回収した熱エネルギーをのせて室内に取り入れるので、冬は寒くなりにくく、夏は暑くなりにくい快適なシステムです。

すきま風を減らすことが重要

そして「すきま風」ですが、専門的には「漏気」と言いますが、文字通り家の隙間から知らないうちに出入りしている空気の流れを言います。気密性能を上げるということは、この「すきま風」を減らすということを意味します。気密が十分に取れていないと「すきま風」が多くなってしまい、せっかく冷暖房された空気が知らないうちに逃げ出してしまい非効率になってしまいます。

特に冬の暖房時には、温まった空気は軽いため上部から抜けてしまい、下から冷たい外気が流入してくるためとても不快な環境になります。また計画換気では、家の中に空気の流れを計画的に作り家全体の汚れた空気を効率的に排気するのですが、気密性能が低く漏気が多い家は、計画換気の排気装置の近くの隙間から空気が吸い込まれて排気されてしまうため、計画換気で想定された空気の流れが作れなくなってしまいます。そのため、排気口から離れた汚れた空気が滞留してしまい、逆に十分な換気ができなくなるので注意が必要です。

高気密住宅ならば、気密測定を実施して、C値1.0以下を目指しましょう。

住宅の気密性能は、寸法誤差の少ない高品質建材を使用し、建材と建材の接合部分を気密シートや気密テープなどで隙間なく施工することによって高めます。断熱を「あたたかいセーター」に例えるならば、気密は「ウインドブレーカー」にあたります。真冬にセーターだけで外出すれば寒いように、断熱性能だけでは、夏涼しく、冬暖かい住まいにはなりません。 

気密性能は、C値で表されます。C値が小さいほど気密性能が優れていることになります。単位はc/㎡で、「相当隙間面積」とも言います。気密測定で計測された家全体の隙間面積(どれだけの空気が室内から外部に流出するか)を、住宅の延べ床面積で割った値です。つまりその住宅の仕様から計算される値ではなく、一棟ごとの気密測定の結果で算出される値であるため、個々の住宅の施工品質によって値が異なるのです。

なお、次世代省エネルギー基準では、横浜等の地域ではC5.0 c/㎡以下(寒冷地では2.0以下)となるようにと規定されていたのですが、現在の省エネ基準ではなぜか気密性能に関する基準はなくなっています。そのため、多くのハウスメーカーや工務店は、気密測定を実施していないのが現状です。

高断熱住宅なのに気密性能を確保できていないのであれば片手落ちです。一棟ごとに気密測定を実施し、一定値以下の気密性能を保証するハウスメーカー・工務店を選ぶことが高気密・高断熱のすまいづくりには大切です。

また、C値の値ですが、現在は国の基準がないのですが、高気密・高断熱の住まいならば、C1.0以下というのが一つの目安になるでしょう。もちろんこの値は、もっと小さければ小さいほど望ましいです。

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