COLUMN
コラム
2025.12.25
ふと家の中を見渡したとき、「ここ、なんだか使いにくいな…」と感じる場所はありませんか? その代表格とも言えるのが、「階段下」です。
掃除機や季節外れの扇風機、いつ使うかわからないゴルフバッグなどをとりあえず押し込んで、扉を閉めて見なかったことにしている……なんてことはありませんか?
でも、声を大にしてお伝えしたいのです。階段下は、家の中で最も「化ける」可能性を秘めた場所だということを。
「ただのデッドスペース」だと思っていたその場所が、リフォーム一つで、収納不足を解決するパントリーになったり、ご主人が憧れる書斎になったり、家族みんなが快適に使えるトイレになったりと、まるで魔法のように生まれ変わります。
今回は、私たちリフォームのプロが実際に手がけてきた事例やノウハウを交えながら、階段下を120%活用するためのリフォーム術をたっぷりとご紹介します。「うちの階段下も、何とかできるかも?」そんなワクワクを抱きながら、ぜひ最後までお読みください。
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一番の理由は、家の床面積を変えずに新しい空間を手に入れられるという点です。
部屋を増やそうとして増築をすれば、多額の費用と工期がかかりますし、建ぺい率の問題でそもそも不可能な場合も多いですよね。
しかし、階段下なら今ある家の内側の「空洞」を使うだけ。いわば、家の中に隠れていた「ボーナス空間」を見つけ出すようなものです。コストを抑えつつ、実質的な生活スペースを広げることができる。これが最大の魅力です。
階段はリビングや玄関ホール、廊下といった、家族の動線の中心にあることが多いですよね。
つまり、一番モノが散らかりやすい場所の近くに、新たな収納や機能を持たせることができるのです。
リビングに溢れていた書類や、廊下に置きっぱなしの掃除道具が階段下にスッと収まるだけで、家全体の印象がガラリと変わります。「隠す」と「使う」を両立できる絶好のポジション、それが階段下なのです。
暗くてジメッとした物置だった場所が、リフォームによって「見せ場」に変わる楽しさもあります。
例えば、あえて扉を付けずにアーチ型の入り口にしたり、奥の壁にアクセントクロス(色付きの壁紙)を貼ったり。
階段の斜めのラインを活かしたデザインは、他の四角い部屋にはない独特の「隠れ家感」やお洒落な雰囲気を演出してくれます。 「あえて見せたくなる階段下」を作ることで、インテリアの満足度もグッと上がりますよ。
「階段下にトイレ?」と聞くと、「狭そう」「天井が低くて圧迫感がありそう」と心配される方もいらっしゃいますが、実は非常に理にかなった活用法です。
トイレは座って過ごす時間が長いため、天井が多少低くても(特に階段の低い側を便器の背面に持ってくれば)、意外なほど気になりません。
むしろ、その「お籠り感」が落ち着くと好評なんです。
階段下のトイレは限られた間取り空間を最大限有効活用すべく、採用されるケースが最も多いパターンです。
おしゃれに見せるコツ:
限られた空間なので、タンクレスのトイレを選ぶと空間が広く使えます。また、大胆な柄の壁紙を使ったりと、小さな個室だからこそインテリアで遊べるのも楽しいポイントです。
階段下のトイレは、壁一面にアクセントクロスを貼ることで、おしゃれな空間に生まれ変わります。
思い切って柄物のクロスを採用してみるのも楽しいですね。
ポイントは天井の段々になっている部分は柄物を避けて目立たないようにすること。
コロナ禍以降、増えたのがこのオーダーです。「テレワークをしたいけれど、個室を作る余裕がない」というお宅にこそ、階段下ワークスペースは救世主となります。
壁に向かってカウンターを造作すれば、視界が遮られるため余計な情報が入ってこず、集中できる空間に。リビングの一角にありながら、程よい距離感で家族の気配を感じられるのもメリット。「ご飯できたよー」の声も届きやすく、仕事と家庭の両立がしやすい環境が作れます。
廊下にあった階段ごと、リビング空間を拡張して取り込んだこちらの事例。
ソファーの裏側がカウンター付きのちょっとしたワークスペースになっています。ちなみに上の四角い箱は分電盤(ブレーカー)です。
図面
【プロのワンポイント】 ワークスペースとしてカウンターを造る時は、パソコン作業をするなら45cm以上の奥行きをとることをおすすめします。奥行きが浅いと、ノートパソコンの画面を垂直にして使わないと、、なんて状況になりかねません。
こちらの事例はルームツアー動画でご覧いただけます。
最もポピュラーで、かつ効果を実感しやすいのが収納へのリフォームです。
「収納なんて、今のままでも使ってるよ?」と思われるかもしれませんが、リフォームで作り込む収納は使い勝手が段違いです。
何かと物が多くなる子育て世代での階段下活用事例。スッキリとしたリビングの秘密は階段下収納にあります。
もともとトイレだったスペースを収納スペースに。掃除機やストック品など、普段見せたくない物をしまうことができる空間を造ることで、リビングをスッキリと保つことができるようになりました。
普段使わない食器をしまうことができるスペースに。使用頻度が少ないものをしまう場合は、扉を設けることで普段はスッキリとすることができます。
「いいことづくめ」に見える階段下リフォームですが、特殊な形状だからこそ注意すべき点があります。工事が終わってから「失敗した!」とならないよう、事前に押さえておきたい3つのポイントをお伝えします。
当然ですが、階段下は天井が斜めになっています。図面で見ているときは気にならなくても、実際に立ってみると「思ったより低い!」「頭をぶつけそう」と感じることがあります。 特に、書斎やトイレにする場合は、「立ち上がる位置」の天井高が十分に確保されているかが重要です。収納にする場合でも、奥の方はしゃがまないと入れない高さになることもあるので、そこには頻繁に出し入れしないものを置くなど、高さに合わせたゾーニングを計画しましょう。
階段下は窓がないことが多く、昼間でも真っ暗になりがちです。 「収納だからいいか」と照明をケチると、奥の探し物が見つからない…というストレスの原因に。人感センサー付きの照明をつけておくと、扉を開けるだけでパッと明るくなり非常に便利です。また、ワークスペースにするならPCや充電用のコンセントが必須ですし、収納内でコードレス掃除機を充電したい場合もコンセントが必要です。「ここで何を使うか」を具体的にイメージして、コンセントの数と位置を決めてください。
最後に、お客様からよくいただく質問にお答えします。
Q1. 階段下リフォームの工期はどのくらいですか?
A. 工事内容によりますが、目安としては以下の通りです。
簡単な収納棚や扉の設置:1日〜2日
ワークスペースや内装工事を含む場合:3日〜5日
トイレの新設(配管工事含む):1週間程度
木造住宅の場合は比較的小規模な工事なので、住みながらのリフォームでも負担は少ないですよ。
Q2. 構造上、壁を抜けない(リフォームできない)階段はありますか?
A. はい、あります。 特に「箱型階段」と呼ばれるタイプや、階段下の壁が建物を支える「耐力壁(たいりょくへき)」になっている場合は、壁を撤去したり大きな開口を開けたりすることができません。無理に工事をすると家の強度に関わります。 まずはリフォーム会社の担当者に現地調査をしてもらい、どこまで壁を触れるか確認してもらうのが第一歩です。
箱型階段
オープン階段
Q3. 費用はざっくりどのくらいかかりますか?
A. こちらも内容次第ですが、目安をお伝えします。
収納リフォーム(棚・扉):10万円〜30万円
ワークスペース造作:20万円〜50万円
トイレ新設:50万円〜100万円(給排水工事の難易度による)
予算に合わせてプランを調整することも可能ですので、まずは「やりたいこと」をご相談ください。
ここまで、階段下リフォームの可能性についてお話ししてきました。
「うちの階段下も、ただの物置にしておくのはもったいないかも…」と思っていただけたでしょうか?
まずは、今ご自宅の階段下がどうなっているか、扉を開けて覗いてみてください。そこには、あなたの暮らしをより快適に、より楽しく変えるための「余白」が眠っているはずです。
「うちの階段の形状でも工事できる?」 「収納とワークスペース、どっちが向いてるか見てほしい!」
そんな疑問が湧いたら、ぜひお気軽にご相談ください。現地調査であなたの家の階段下のポテンシャルを最大限に引き出すプランをご提案させていただきます。
デッドスペースを「魔法の空間」に変えて、ワンランク上の暮らしを手に入れましょう!