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工事実績マップ

 
 
    信州から松の『夜明け』
 

唐松は標高600メートル以上の場所に生えます。そして、信州から松は全国の唐松の先祖でもあります。
針葉樹でありながら黄葉、落葉する、大変珍しい植物です。
ぐるりとねじれながら育ちます。



信州から松は以前から人々に身近なところで使われてきました。
それは、人目に触れない、土木工事などで。人々を支える大事な部分で。
信州から松は水に対しての強さを持つ一方で、その育ち方から生じる独特のくせを持っています。
壁材や床材にした時にそのくせを抑える方法が長い間見つけられなかったから、こういった用途でしか使われなかったのです。
しかし、南波さんがその方法を見つけたことで、私たちは信州から松の床材、壁材に触れることができるようになりました。

 
    手間を尽くした製材工程
 



樹齢40年~60年の木を伐採、切断したもの(生材)が床材や壁材として使われます。

自然素材は”暴れ”が起こりやすいのも特徴です。
具体的には、木材は年輪に逆らった方向に反りやすくなります。(目が真っ直ぐになるように反ります。バームクーヘンを外側に割るイメージです。)
それには天然木の含水率(木材に含まれる水の割合)が係わっていて、暴れを解決する為には十分な乾燥により含水率を12%程度にまで落とすことが必要となります。

また、信州から松にはヤニが多く含まれる為に、これを取り除くことも大切です。
ヤニは高い温度と湿度によって排出することができます。



この”暴れ”と”ヤニ”の問題を解決する為に、南波さんの工場では通常よりも多くの工程を設けています。

木の切り出し→高温高湿状態の人工乾燥機→乾燥機内でのヤニ処理→製材→出荷 (通常工程)
木の切り出し→高温高湿状態の人工乾燥機→乾燥機内でのヤニ処理→天干し(1~2ヶ月)→加工・製材→出荷(南波さんの工程)



天干しすることにより、木に含まれる含水率を均一化し、暴れを防ぎます。
人工乾燥機の中に入る木は切り出したもので約700枚程度ですが、どうしても乾燥にばらつきが生じるので天日干しは絶対に必要な工程です。



天日干しを終えた木材は、次に製材・加工段階に入ります。
天然木を職人が1枚1枚チェックし、ひび割れ部分には木粉を混ぜたパテを打ってヤスリで表面を滑らかにしていきます。 これらの手間と時間を経て、初めて出荷することができます。

数多くの工程をじっくりと時間をかけて作られるので、狂いの非常に少ない材となります。通常の天然木のものに比べて施工性が格段に良く、大工さんの施工時間も短くなり、余計な人工がかからずに済みます。

また、材は『作品』と思えるほどの美しさにまで職人の手によって仕上げられています。

 
    人々の想いが込められた材
 


信州から松でもっとも目に付く特徴といえば、その独特の赤みがかった美しい色合いでしょう。
特に木裏と呼ばれる樹心に近い部分はその色もより鮮やかで、また組織もしっかりしている為に変形を起こしにくくなっています。

強度と美しさを兼ね備えた信州から松は、床や壁など家の様々な箇所に用いることができます。

ただし、今現在は梁(はり)や框(かまち)といった大きな部材をから松から取る事は難しくなっています。戦後植えられたから松があと10年程で利用可能となります。


今、私たちが手にする天然木は、輸入材がほとんどです。
残念なことに、輸入材の多くは中国などから盗伐されたもので、木自体の状態をよく見ずに切り出して使っていたり、仕上げが美しくないものも少なくありません。

日本には産地の方が大切に守り受け継いできた『日本の木』があります。
沢山の人々の想いが込められ、木の良さを極限まで引き出された材となり、私たちの元へと届けられる日を待っています。